20241230──冴えなさすぎ。

・ホテルの朝食を利用。バイキングでもなく和食と洋食の2種類から選べる。選べるけどパンとご飯は自由に選べるのでパン和食、ご飯洋食のカスタマイズが可能。なんだその拡張性は。あまりお腹が減ってないのでおかずだけ食べるスタイル。道路に面したカウンターに座ると道行く人と目が合う。カリフラワーを食べて威嚇する。

・本を持ってまたしてもJAZZのBGMがデカいカフェことホリーズカフェにいく。私よりも長居して勉強している学生やエグい咳き込みをしているおばあさんなどがいる。

・『言語の本質』を読み終わった。トロの部分は結構ゆる言語学ラジオで話されている。その部分を正確に、順序よく、正しい順番で確認する感じになった。東浩紀は文系学問を「実は……だった!」と表現していたが本当にそうだしこれは物語に似ている。すでにネタバレしている状態で物語に触れても一応は楽しめる。物語の場合は登場人物の心の機微をなぞってしまう力が否応なく働くのでネタバレしててもまだいける。情報!て感じの新書だと感情移入する先がないのでフィクション的な面白さと並べるのは間違っている気がした。

・『古都の占領』も読む。占領とは違うが(と言うのもどうなんだとは思いつつ)沖縄の現状が重なるところがある。地域的に大勢の外国人が軍事目的を含んで長期滞在するってところが多少なりとも似ている。現在の沖縄でも在日米軍による犯罪の取扱が問題になったりしているが占領下の京都はよりシビアだ。事故や事件が起こったとして即座に対応されず事後的に「見舞金」「賠償金」の請求を出すことになっており著者はそれらの行政文書を読み込んでいる。中にはお金目当てに駐留軍の誰かしらに闇夜で滅多刺しにされたサラリーマンがいたりする。烏丸通りをジープが勢いよく走るのでひき逃げも多かったらしい。

・駐留軍基地への道路がある農村ではたびたび道路沿いの建物が燃えていた。原因は軍人のタバコで、弾き飛ばされた吸い殻が藁葺き屋根の納屋なんかを火事にしていたらしい。これの補償を求める文書には遊び感覚で吸い殻を弾き飛ばしていたのではないか?と確信めいた疑いが記載されている。燃えた家屋を消火する際には駐留軍の大型タンク車が協力してくれたらしいが、自作自演の力を誇示するような行いすぎて読んでて嫌な気分になった。

・しばらく読んで映画を予約する。占領の本を読んでいて占領に関する映画がやっていると知ってしまったので。

・アップリンク京都に初めて行った。『占領都市』を見た。スティーブ・マックィーン監督作の4時間を超えるドキュメンタリー。オランダでのホロコースト、ユダヤ人虐殺について歴史的映像を一切出さずに現在の風景だけで構成されている。

・4時間を超えて一応休憩を挟むがコンディションがよくなくて30分ぐらいは気絶していた。派手なことは起こらないというか、現在のオランダで人々が生活している風景の上でナレーションがかつてそこで何が起こったかを淡々と説明していく形式が4時間続く。この広場では誰それが処刑されて〜とか、この建物の1階にはこういう人が住んでいてこの収容所で何年何月に死んだとか。終わりなくそれが続く。写っているのはそんな歴史とは繋がりに気づいていないような、ごく普通に生活している人たちだ。けど確実にその土地、その建物に紐づいたどうしようもない事実が羅列されるので「うぐぐぐ」となる。

・それがピークに達したのが収容所に送られた人たちの名を連ねたモニュメント。とある劇場が収容所に相関する前の待機所として利用され、そこから送られた人たちのファミリーネームだけを刻んだものらしい。その数が凄くて滅入るしかない。

・ホロコーストに関するドキュメンタリーでもありつつコロナ禍、ガザ侵攻、気候デモといった現在のオランダを映している。ナレーションを重ねる意図的な部分と撮影していてついつい撮れてしまったような映像もある。映像が気になって字幕を読み逃すことが何回かあった。

・4時間は長いけどこういうタイミングじゃないと見ないし家だともっと見なさそう。フレデリック・ワイズマンといい映画館じゃないと絶対見てない。

・昼食を逃して映画館のホットドックを食べた。お腹も減ってないし行く宛もないのでダラダラ歩き回ってからホテルに戻る。

・夕飯を求めて外に出た。対人パワーを失なっているのを感じつつテイクアウトでもしようと店先で確認すると30分ぐらいかかるとのこと。じゃあいいです、と全然良くないのに断って良くないスパイラルに入るのを感じる。もうこれは無理だな〜と思ってコンビニへ行った。焼きそばと麻婆豆腐の入ったそれっぽいやつを買う。

・自室に戻ってからホテルの1階ロビーにしか電子レンジが無いことに気がついた。戻るのが面倒なのでなんとか出来ないかと考えて「湯煎、できないかな?」と洗面所に密閉された弁当を浮かべた。しばらくしてから弁当を見てみると中に水が侵入していた。弁当は密閉されているわけではなく(当然)どこからか水が入り込んでいた。麻婆豆腐は弁当内の仕切りがあるので被害を免れたが焼きそばは一度水洗いしたようになった。温まってもいない。それらを混ぜて味の薄い良くわからないものをクラフトビールで流し込んだ。冴えなさすぎ。

・Kindleでダ・ヴィンチ・恐山の日記本を半分くらい読んでから寝た。