20241105──深読み乙

・眠くて起きる。音声放送を聞く。ヤスミノの寝言回。寝言って面白いけど他人のやつで一番笑ったかも。寝言の面白さは不思議だ。

・性懲りもなくタイムラインを見てたら漫画が飛び込んできた。Xはわりと漫画を投稿する場所として使われているがWeb漫画のUIと異なりすぎている。一直線で最後まで読めるのが普通だがツリーになっているポストの画像を拾っていく必要がありわりかし面倒くさい。

・面倒くさい割にはキャッチーな1ページ目が確実に作られている。最後まで読ませようとするちからは強い。

・気になるのに快適に読めない、その歪さを即座に解消するために最近は気になった漫画は最後のポストのオチから読むようになってしまった。なんでや。

・それとは関係なく、読んだ漫画は男子高校生の異性装に関するものだった。この手の漫画は無限とは言わないまでも万くらいある。そこではたいてい似合う似合わないと自己認識の話が繰り広げられている、と思う。前はそんなこと思わなかったが今日目にしたそれをはなんだか意図せずルッキズムの拡張に手を貸しているように読めてしまった。

・趣旨として異性装を「かわいい」と言われて自信を持った、という話だったはず。パッと読んで離れてしまって詳細を検討する前に濁流に消えていった。

・基本的にその漫画ではそんな話をしていない、深読み乙なことを書く。

・あえて書き起こすなら「可愛いならば良い」っていう結論を出している。対偶を取ると「良いでないなら可愛くない」だ。論理学ニワカなのでこの辺りに読み解きが正しいか自信ないけど「悪いならば可愛くない」ともいえる気がする。

・ここでの「良い」も色々あるんだけど「生きていて良い」みたいなデカい話のときの「良い」だとする。すると結構苛烈なことを描いているように見えてくる。可愛くなければ生きる価値が無いかのような感じがしてしまう。

・もちろん漫画ではそんなこと一切言ってないので解釈側の問題だ。けれどこの可愛さと良さ、生きていく自信を得るには他者が認めるほどの「かわいい」が無くてはならないのは結構キツい。キツいけれど「かわいい」に限らず自分の存在を自分で認めるには、他人の評価が必要だ。この辺りは『他者といる技法』に詳しくて、自分の存在が他者の評価に依存するジレンマがある。「かわいい」の軸はかなりそれに則っている。

・漫画では設定的にも表現的にも男子高校生は「かわいく」描かれる。ここが漫画の難しいところでデフォルメされるとなんでも「かわいく」なってしまう。たとえそれが真に「かわいく」なくて、お世辞によるものだったとしても見た目上は「かわいく」見えるバイアス、媒体の力があると思う。その辺りを気配りして可愛く無さをしっかり描く漫画表現もあるけれど、今朝の漫画そうでなかった。真に「かわいい」し、表現的にも「かわいい」かった。だからそのところが「意図せずルッキズムの拡張に手助けしてそう」って感想になった。

・現実には異性装をするけれど「かわいい」と言われないことも十分にあり、必要十分な他人からの評価が得られない苦しみを生む。しかも肉体的などうしようもない部分(究極的には整形もできるけれど)がコアにあり、漫画では良いものとして昇華されて晴れ晴れとするが描かれない排他的な部分を、毒にしかならないがついつい想像してしまう。

・可愛いの肯定であって、可愛くないの否定ではない。そこが分別されているはずだけれど往々にしてこの手の価値観は誤って内面化されやすい気もしている。何を心配しているんだか。

・異性装をしたければすればよいってのが雑な言動なんだけど自分で設定してしまう枠を壊される体験が重要だし、この漫画の本懐もきっとそこだ。

・根源的には「かわいい」とかは関係なしに人は肯定されるものだろうけど、そういう根源的な話は実践的なものに太刀打ちができないだろうなと常々思う。これは人権の話にちょっと似ていて人権とか「ありのまま」とかを説くよりも他人に可愛いと言われる体験の方が実践的に生きていくうえで勝る。

・可愛くなって生きようって処方箋はやっぱり劇薬だ。人間はちいかわではない。大きくて醜くても生きていくしかないし実際に生きている現実の揺らぎ無さはヤバい。

・ここまで書いてしっかり検索したら漫画を発見できた。やっぱり書いたようなことを読み取るのは解釈側の問題だった。認知の歪み!こういうひねくれもの向けの漫画はもっと別にある。

・『トーエム』をプレイして出社。

・仕事。やることが多い。

・いったん帰宅してから歩く。銭湯へ。1時間くらいいてから読書。『ここはすべての夜明けまえ』を読み終わった。良かった。

・不老不死にまつわる物語とはいえるけれどその中で語られているのはファンタジックなものでなく現代と連続している家族の話だ。わりと家族っていう集まりの嫌なところを自然体に書いている。文体が特徴的というか主人公によるほぼ口語の文章でひらがなが多い。そういう文体の遊び、読み口が内容と密接なのも良い。媒体の特色なので例えば映像化したりするとそぎ落とされるであろう部分がしっかりとある。

・呪い的な家族の話が頻出するので読むモチベーションがあんまり湧かなかったのはある。結構気落ちするというか元気溌剌じゃなさすぎる平熱感が逆に元気な時じゃないと読めない雰囲気あった。なので割と長いこと置いていたけどいざ読み始めると半分くらいを一気に読んでしまった。

・読み終わると良いため息が出る感じした。そこに落ちるんだ、すごって思う。

・しかしここに出てくる家族の男構成員がワーーッって感じなのが嫌だけど面白くもあった。とくに後半に明かされるシンちゃんの行動な。すごくて逆にテンションが上がってしまった。

・BGMをNintendo Musicから『ブルーおにぎり』にしていたが本の雰囲気と結構あっていて捗った。どうぶつの森の曲らしいけど全然覚えてない。

・『なにもしない』をちょっと読む。前書きが小難しい。エッセイらしいことを受け取って帰路。歩いて帰る。夜は寒い。セブンイレブンに立ち寄る。

・帰宅。オモコロチャンネルを見たり『TOEM』をしたり。