20240929──保留しておけば驀進

・日記を書き損じたので感想日記。

・Netflixで『BlackBerry』を見た。良かった。タイトルの通りあのブラックベリーの伝記的映画。iPhoneが発売するまでは凄かったらしいと知識だけはあったけどその内幕をほぼ知らないので新鮮に観た。

・視聴者としては先述したようにiPhoneの登場によって廃れたな~~~と知っているわけで、どんなに喜ばしいことが起こってもこのあと必ず悲劇的な転落が待っているんだなと複雑な心境になる。

・描かれるのは主に3人。創業者の二人のギークと会社を立て直すために急遽入った営業系のCEO。このギーク二人は技術開発とチームリーダー的に分業がされていて、たぶん親友同士で企業までやっているのだけどなんやかんやでうまくいかなくなるドラマが展開される。フェイスブックやアップルではだいたいこの二人組の友情を超えたなにかが決裂していく感じが描かれるが本作にはそこにもう一人が加わる。こっちでへ営業VS技術のよくある感じの対決が深刻化していく。

・こういったベンチャー企業ものはインターネットサービスを始め栄枯盛衰や悲喜こもごもが猛スピードで展開するので作品化しやすいんだろうな。そこには必然的に人間ドラマが生まれる。

・営業系CEOはグレン・ハワートンというやらしいが冷徹さがあるハゲ頭、でもアイスホッケーが異常に好きで公私混同もするけど有能ってキャラが良い。あとギーク二人もオタクらしいオタクだったり垢抜けたあとの感じだったりも良い。ムービーナイトだ!って盛り上がっている様子も時代感ある。

・ブラックベリーそのものが過去のものになる瞬間としてかの有名なジョブズによるスピーチがあり、いままではそっちの盛り上がりだけを知っていたので裏番組を見たなって気持ちになった。単にすごい製品が出たな~の裏側にはシェアが食われてしまう企業の立場もある。そこがまざまざと映し出されるドキュメンタリーちっくなカメラワークなんかも良かった。あんまりカットを割らないで覗き込んでいるような塩梅が映画的脚色を薄めて本当っぽく見えてしまう。

・まじでiPhoneの登場は革命だったのだろうし、それに変わる発明を考えることなんてできるわけ無いじゃん!って悲痛さがマジだ。

・でもBlackBerryは今見ても良いガジェットだなぁと思うけど一握りなんだろうな。いま使えるなら使ってみたいな。

・『嘘と正典』を読み始めた。短編集なのでとりあえずひとつ『魔術師』を読む。おもろい。

・町田康の『しらふで生きる』も読む。大酒飲みの町田康が酒を止めることについて書いている。筆運びはいつもの通り。これを読んで酒をやめてみるか~といった安易な感想を持つけど中で書かれているような困難を自分も持っているので身にしみる。酒を辞める理由を「狂ったから」と書いていてそれぐらい強烈な動機以上のなにかが必要なことに慄く。まあ本当にそうなのかは分からないが何かをやるときに狂いを理由に推し進めるのは結構ありな気がする。普通なら気にしてしまうようなコストを「私は狂ったのだから」と保留しておけば驀進できてしまう。

・酒やめれんのかな。よく寝たいのでやめたほうが良いのは確か。