20240928──あまりにも珍味

・早く寝ていたら早くおきた。意味ない。モンゴルナイトフィーバーを聞く。サムネの圧が強い。何を話していたかすり抜けていく。毎週かもな。

・イングリッシュを食べて今日の予定を決める。映画を予約して外へ。半袖でまだ行ける。日中は30度を超えるが夜は寒い季節がやってきた。

・『侍タイムスリッパー』見た。面白かった。日本のインディー規模の映画で公開規模も大きいし面白いよ~と評判は聞いてた。設定から何が起こるのかだいたい分かるし実際その通りだったけどそこがいい。

・あらすじが、侍がひょんなことから太秦映画村にタイムスリップしてしまった!だ。ここから江戸時代の人が現代にびっくりするオモロのクリシェが外れずに描かれる。そこのツボを外してしまうひとには結構辛いかもな。

・なんか見ていて過去の人が現代日本に驚くというのは異文化を笑うって感じがあってちょっと嫌だな~と思った。田舎の人が都会に来て驚くってのはもっと素朴なやつで、拡大していくと人種だったり国籍に置き換えて描かれることがある。たとえばハリー・ポッターなんかも魔法の世界に驚いたりしているが、驚かされる側が主人公=観客なので全く気にならない。こっちの文化に驚いている人間が面白いってのはなかなかグロテスクだ。この映画だとその要素は確実にあるが本筋でないので意外と早くタイムスリップした事実はバラされて進行する。シチュエーションだけでなくちゃんと話が進行するので良かった。

・あと全体的にオジサン向けすぎるのが気になった。そもそもの時代劇がオジサン向けなのだけどヒロイン的ポジションの見た目からして「おじさんが好きそう~~」で構成されている。男社会の時代劇製作に飛び込んでいく監督志望の助監督っていうある意味でいまっぽい設定ではあるもののかなりおまけだ。主人公である高坂新左衛門の心情と斜陽産業になってしまった時代劇が重ねられて「なぜ時代劇をやるのか」がストレートに語られる。この映画の核になっているのはそこなんだな~と親切でありつつも、自己批判があんまりない。それが顕著になるのが「本物らしさ」を追求していく展開で底に歯止めを聞かせる人間がほぼおらず美談じみていくのがちょっとなと思った。それを追求していくのも男性だけだしほとんど唯一の女性である山本優子は便利でたまに穴をひっぱたいてくれる便利な存在でしか無い。

・劇中でリアリティラインへの言及があるけどそこの線引と揺さぶってくる感じは面白かった。そもそもの時代劇が嘘すぎるって前提がなくても冒頭のライティングの不自然な時代劇っぽさを見ていると写実的なものでなく「時代劇らしい時代劇」をやる気なんだな~と感じ取れた。その上で映画の中で映画を撮影する。映画っていうフィクションの中の本当が立ち上がってくるし、それがラストに意味をなしてくるあたりは面白い。でも時代劇らしい時代劇(あんまり本当っぽくない)をやるつもりで「本物らしさ」に迫っていく展開はどうなんだろうとうまく咀嚼できていない。そう感じていることがリアリティライン構築の術中にハマっている証拠なのかもな~。

・明らかにそこにカメラがあってもその画角の映像にならないだろう!みたいな誤魔化しが当たり前にやられているが不思議と気になっていない。

・あと良かったところは方言。べつに東京が舞台でもないのにとくに訛っていなかったりする映画が多いのだけど本作は大いに訛っている。京都弁大阪弁がナチュラルに出てくる感じにもインディー感があって良かった。

・インディー感でいうと中盤にある公園での会話シーンの環境音がすごかった。子どもたちが遊んでいる公園での会話で普通なら会話の音だけにフォーカスするだろうに子どもたちのワーキャー声が異様に入ってて印象に残った。音響に関しては序盤からのっぺりとしていて気になったけどなれると忘れた。

・気になる点はいくつかありつつも稽古シーンではマジで笑っちゃった。時代劇というかテレビ、老人向けの分かりやすいおとぼけが連発されるので人を選ぶと思うがあのシーンは今年一番のギャグシーンかもな。普段着に刀を差している殺陣指導のおっちゃんがかっこよい。

・映画館を出て古着を漁る。胸元にUSAと五輪マークが刺繍されたトラックジャケットを見つけて1000円だったので買った。ノーブランドなのでいつのなになのか全然分からないがこのユーモア感ちょうどよいかも。古着は変な服が結構あるのだけどいざ着るとスベるなぁ~ってものが多い。Tシャツは顕著で普通にsuzuriで買うときも判断基準がブレれて普段遣いしにくいウケ狙いのデザインを買いやすい気がする。

・昼食と食べるために梅田へ。エリックサウスまで歩いた。ワンオペだなぁ~と思って急いでもないのでゆったりした。ビリヤニ食べた。

・偶然にもどこかの席で侍タイムスリッパーの話をしているらしく「出てくるヒロインがオジサンの好きそうな感じで嫌だった」という身も蓋も無い事実の感想が聞こえてきてかなりウケた。そうだよね。

・映画を予約してグラングリーンに行く。曇っているので涼しいかと思いきや屋外にいると体に熱がこもるのが分かる。日差しは出てないけど紫外線はある。

・日陰に避難。『神戸・続神戸』を読み終わった。西東三鬼という俳人のエッセイ。俳句は全然知らない。神戸の摩訶不思議なホテルで暮らしていた著者のエッセイでフィクションみたいな人物がいっぱい出てくる。戦前から戦後にかけての神戸の暮らしも書かれていて興味深いがそもそもの変なホテルの面々が変すぎて面白い。『グランド・ブタペスト・ホテル』かい。

・移動してコーヒーを買う。『読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門』を読む。プッシー・ライオットはあんまり知らないけどロシアという国家で活動することのハードさは何となく分かる。アートや文化と政治の関わりとかを書いていて面白い。

・映画『Cloud』を見た。変すぎ。あまりにも珍味。

・黒沢清の映画は全部を見ているわけでもないがこの味はだれにも出せないだろうなって映画を作っている印象ある。本作もジャンル分けするのが難しくてどの引き出しにも入らない。

・あらすじは転売ヤーの主人公がその生業故に復讐されてしまうって話なんだけど変な人間しか出てこないし変な展開をするしどこもかしこも変だ。なのに人物に迫力があって見れてしまう。不思議。

・もはやギャグだなってシーンもかなりあって基本的にはウケながら見ていた。席の近くに自分よりもウケて見ている人がいて気持ちがわかる。これは真面目に見るより「変すぎておもろ~」って思いながら見るのが正解だと思う。そこでそんなこと言う?っていう黒沢清節が炸裂しまくる。とくにラストはいつもの黒沢清による車中風景が来るので最大限に面白がって良いと思う。

・2024年にこの感じの転売ヤー描写ってどうなん?とか突っ込みだしたらきりがないのでしないほうが良い。あと銃声音が異常に大きいのとかも。まじでどの映画より銃声音がでかい。

・黒沢清の『黄龍の村』みたいな感じもあるし、ベイビーわるきゅーれのスピンオフかと思った。

・面白いもん見たわの気持ちで劇場を出た。寒くはないぐらいの気温で帰路。

・普段は行かないスーパーに行ってみる。ここ最近新発売や季節限定のドリンクを意識的に飲んでみる試みをやっている。いつものスーパーだと発見がないので足を伸ばしてみたけどあんまり釣果なし。

・筋トレし風呂入って飲酒してヒロアカを見た。ヒロアカは死柄木弔と戦った振り返りで1話を潰したりしているのだけど情報量が多すぎたので時間稼ぎだなんて思わずに見れる。レディナガンはあんまりピンときてなかったのを思い出した。

・日付を超えてから寝た。