20240901──着る勇気

・暑くて夜中に起きて冷房をつけた。やっぱりまだ早かったみたい。ジンを飲みすぎたのもあって9時前まで寝ていた。

・オモコロウォッチを聞く。普通にゲームの話をしている回。

・ファーストデイだしMIU404を見終わったからラストマイルを見に行こうか迷う。けどたぶん動員があるのでまだまだ上映しているだろうから終わりそうな映画を選ぶことにした。台風の気配は一切ないのでいつもの日傘を持たずに外へ。実際はそこそこ日差しが強かったので雨用に持ってきた小ちゃいやつを差して歩いた。

・『ソウルの春』を見た。かなり良かった。韓国近代史における朴正煕暗殺事件(大統領の暗殺)は結構映画の題材になっている印象がある。本作は暗殺後に起こったクーデターがリアルタイムで進行しているさまを描いている。

・史実の疎いのでほぼすべてを初見でしっかりと驚いたりした。クーデターを仕掛ける側の行き当たりばったり加減、それを防ごう側の悪戦苦闘が同時並行の攻防戦となっていてスリリングだった。軍人同士の戦闘行為そのものは無くて、軍人らしく上層部の承認を必死で取りに行ったり指揮権の優先度を勢いで突破したりとあんまり見かけない面白さがあった。登場人物の役職や地名の情報量が多くて感触は『シン・ゴジラ』に近いかも知れない。基本的には会議したり電話したりばっかりだ。あと地名が普通の字幕と同じフォントで出るのだけど、庵野秀明作品特有のあれにしたらめちゃめちゃその雰囲気になると思う。

・実際の軍事的な動きを把握していなくてもどちらが優勢なのか、リアクションやちょっとした地図での説明で分かりやすいのが助かった。

・対立軸も明確でファン・ジョンミンの軽いんだかシリアスなんだか分からない人物像がマッチしていた。なんでこんな人間に人望があるのかちょっと理解し難いのだけど男社会の軍事組織ならではのあれこれがあるんだろうな。自分の欲望を隠しつつ本音と建前と弁舌で周りを盛りたてていく様が板についている。小物っぽいのに小物じゃないんだよな感がぴったりだ。

・それに反対の立場を取る軍人らしい軍人のチョン・ウソンの存在感も良かった。朴訥で政治からは距離を取りたいがそれこそが政治的な悪手になってしまうジレンマに陥るところなんかも面白い。

・ラストのハッピーエンドなくてしょんぼりしてしまうのも史実に対する態度としてちゃんと受け取らないと行けないので面白さと真面目さが相まってて良いもの見たな~感が増した。良かった。

・映画館を出てもう一本見るか迷ったけど雨も降っていたので帰路。コンビニを経由して図書館へ。おにぎりを食べて『IMF』の下巻を読み終える。『物価とはなにか』を読み始めたら初っ端から面白説明が始まったので期待が膨らむ。物価とは蚊柱である、と言ってて不思議に思うがその後の説明は的を得ているふうにしか思えなくなる。すごいかも。

・帰宅。なんか映画を漁って『All the Streets Are Silent:ニューヨーク(1987-1997)ヒップホップとスケートボードの融合』を観た。NYのスケート文化がマスになっていくドキュメンタリー。

・スケートとHipHopは独特の距離感があって、なんとなくグラフィティの延長線上でこれまで認識していた。当初は結構違ったらしく、ベースにある黒人のための音楽を白人のスケートに使われているといった当事者の気持ちがあったらしい。もちろん有色人種のスケーターも全然いるがトニー・ホークが目立ちすぎてそう思われてきたらしい。

・そんな中、NYではスケートやらファッションやら音楽やらが組み合わさった街の文化が出来ていく。そのうち映画になったりSupremeができたり、いまじゃ誰もが知っているブランドがスケート文化から出来上がる一端を見ることができる。

・Supreme最初の店舗の様子だとか、まだ知られていなかったバスタ・ライムスのラジオフリースタイルの映像とか、よく残っているなぁって映像が多い。当時の群雄割拠みというか、今じゃレジェンド的な人物が集まっていたんだぁとか思うがそりゃそうだ。

・あと日本人がNYにHipHopのクラブ「Mars」を作って繁盛したのがかなりキーポイントらしかった。初めて知った。音楽と客層が暴力的に思われていてHipHopをかけるクラブが全然ない中、平和に音楽をきかせるクラブとして始まったらしい。そこの用心棒としてヴィン・ディーゼルがいて俳優として売れていった、なんてエピソードがあってへぇ~~ってなった。

・後半からはセレブリティになってしまい、かえって不幸になっていくストーリーが語られる。これは結構見かけるやつだけど当事者が語っていてなんかしんみりする。

・ファッションとして拡大してしまったのでスケートはしないけどスケーターファッションの人がたくさんいることについて触れられていた。中ではそれはそういうものだからしゃあないと言われていて懐が深い。自分の場合だとそれは結構ダサい部類に入る気がして糾弾してしまうと思う。聞いたこともないバンドTを着ることの是非はそれなりにあるはずだ。少なくとも自分では着る勇気は出ない。

・映画見て買い物行って運動して夜。映画をちょろっと見たりDAWを触ったりして寝た。台風は消滅して何の影響も感じなかった。