20231202──引継ぎ書のないままみんなが好き勝手に悪魔祓いに参加している

・なんでか6時間くらいしか寝られていない。仕方ないのでそのまま起きた。

・映画を2本見た。

・『エクソシスト信じる者』、友人がすでに見ており最低評価をつけていたので心した。オリジナルの1作目は見たような見てないないような状態。シリーズ作はもちろん見てない。

・思ったより雑な映画だった。突っ込みどころや粗は結構たくさんあり、キリがないる。自分のアンテナが持ち直してきたのもあり、前半のドラマパートは案外楽しんで見られた。見ようによってはチンタラしている映画だと思う。特に後半からは副題のような説教臭いセリフが多くなるので結構辟易した。

・エクソシズム(悪魔祓い)が映画の見せ場なのだけど、ここの立て付けがどう見ても悪い。なにがどう作用して、良いのか悪いのか全然わからない。引継ぎ書のないままみんなが好き勝手に悪魔祓いに参加しているといった感じで、「なんこれ?」と思ってしまった。インターネットミームの子ペンギンを囲って叫んでいる画像、みたいな悪魔祓いであった。

・一番戸惑うのがオチ。バッドエンドなのに語り口はハッピーエンドで、どういう態度で見てよいかわからない。オチの発生原因は分かっているがそれの意図するところや本意がぼやぼやとしている。どんでん返し的な種明かしはあるのものの、それが効果的でないうえに「選択」の部分で結局なに?となってしまった。

・説教臭さの元である信じる者は救われる!的な言説がわりかし真面目で、ある種のプロパガンダ的にも見れるのがひっかかる。科学かオカルトか、の綱引きは劇中で描かれるもののキリスト教的世界観で包もうとする気配が強くて素に戻ってしまう。

・オチのバッドエンドが進行なんかを無に帰しているのは特大の皮肉なのかもしれない。が、語り口がめちゃくちゃなので消化しきれていない。

・オリジナル1作目のキャストが再登場する!が映画の売りでもあるが彼女の扱いが酷すぎた。わざわざ登場する意味がないうえに無残に退場させられるのでファンサービス以下だった。

・1作目を見たら納得するのか不明だが、釈然としない映画を久々に見た気がする。エンタメの気持ち良さピンポイントでつぶしているのが逆にすごい。脇役だけのアベンジャーズみたいな展開もダメそうすぎて逆に好きだったりするけど。

・話の根幹にある少女二人のうちどちらかしか救えない、しかも人種が違うっていうセンシティブさを抱えた設定はあまり意味が無い。こんなことは言いたくないけど安易な今っぽさの飾りになっていた。だれがなぜ生き残るかに関する意味付けや、そういう意味付けすら破壊するのが悪魔でそれれすら人間は乗り越える!的なメッセージも皆無だし、なにを見たんだ?となる

・妊娠している状況で海外旅行(ハネムーン?)すんなし!と思ったり、レイプ診断シーンがやけにリアルだなぁと思ったり色々あるけどやっぱり怖くない!!!が単純な不満ポイントだな。

・見終わってからせっかくなので別の映画を予約した。時間を持て余していたので北新地のジュンク堂へ行った。なんとなくでは行かない書店なので迷いながら物色した。

・本屋に行くと面白そうな本しかないので困る。探していたのはユリイカの長谷川白紙号。無事に発見して、ことばとvol.7が目についたので買った。

・ドトールで読書。せかされたわけでもないけど目についたアメリカンを注文したら300円で、安いコーヒーで居座ってすんまへんなという気持ちになったが謎。本で重いカバンなのにKindleで読書した。

・シネリーブル梅田へ行く。12月の梅田スカイビルは混むことを思い出した。大きなクリスマスツリーと出店、日本の冬を舐めている観光客の服装なんかを素通りした。

・『リアリティ』見た。よかった。

・長編映画にするにはミニマムなんだろうけど、そのミニマムさが良かった。何かが起こっているがなんだろう?を楽しむ映画で、前情報少なく行ったのが良かった。

・ずっとFBI捜査官二人と主人公リアリティが会話している映画で、実際に行われた事情聴取や家宅捜索の録音をベースにセリフを作り上げるという奇抜な作り方。その面白さがちゃんと映画に反映されている。

・普通なら説明されるであろうことに触れないまま、自体が進んでいくのが本当っぽくてその質感がすごい。FBI捜査官の、なんか親切で世間話をしてくるんだけどここぞというときに空気が変わったり、ぐいっと質問を放り込んできたり、あくまで容疑者と対峙しているんだって壁が見え隠れするのが新鮮だった。文字通りの「リアリティ」がそこにあって面白かった。

・終盤の種明かしのところからやや失速していた気がするが、そこまでが面白いので全然よい。消える演出がちょっとチープめというか、突飛でなじんでいない気がしたけどそれぐらいでいいのかも。

・可愛い犬が出てくるのも良い。あと再現映像みたいな映画だからか本人の嗜好であろう「風の谷のナウシカ」のナウシカのステッカーが何度も映るのが印象的だ。多分劇場アニメ版だと思うが、国家という枠組みから外れて自分が正しくて善いと信じることを行うって表象があるんだろうか。映画の最後では国家と個人の遠くて近い感覚ににじり寄っていくが、そのあたりの消化はまだあんまり出来ていない。

・FBI捜査官は「理解したい」と言い、一方メディアでは扇情的な見出しがつく。もちろん映画が真実というわけではない。本当っぽさ、リアリティだけは十全に確保して投げるスタイルはタイトル通りだし面白い。

・などと思って劇場を出た。遠くのほうに咳の大きいおじさんがいたのけど気にならないくらい集中していた。