20230702──あんまりハンバーガーの味って覚えてられない。

・『カード・カウンター』見た。ポール・シュレイダー監督、スコセッシ製作総指揮で『タクシドライバー』のコンビ!と銘打たれているがあんまりピンと来なかった。

・復讐と贖罪の話なんだろうけどオスカー・アイザック演じる元軍人ギャンブラーのその辺をじっとりと描いていた。なんだか立ち入りがたいというか話の明瞭さがあまりないので、展開に対する主人公の動機が掴みづらくてほわほわしたまま見ていた。全然過去のことが清算できてないやん!(当たり前!)な部分や思わぬバッドな展開にギョッとしたりしていたが、ギャンブル描写を見せ場にせずに(映像的な面白みはない)わりかし淡々と進む。かなり渋い。

・映画のオープニングの引きのなさが昔の映画っぽくて、全体的に派手さがなくて陰鬱っていうのはポール・シュレイダーっぽいのかもしれない。あまり監督作見られていないのでなんとも言えないが。

・オスカー・アイザックはほとんどジェイク・ジレンホールがやりそうな役柄をやっていて、あまりそういう印象はなかったが闇の深そうな顔立ちにも見えるんだなーと発見はあった。

・主人公の名前が「ウィリアム・テル」なんだけど意味の読み解きは全然わかりません。ずっとUSA!USA!を連呼しているポーカープレイヤーが出ていたりするのも分かりやすい意味は読み取れず、変な映画な印象が強まった。魚眼レンズの回想シーンとかめちゃくちゃ変だったかも。

・博多明太てりやきチキンバーガー食べた。買ってから苦手なてりやきバーガーであることに気づいた。辛さはあるがあまり明太っぽさはなかったと思う。あんまりハンバーガーの味って覚えてられない。てりやきバーガーらしく、びしょびしょだった。

・『現代日本の若者はいかに「恋愛」しているのか―愛・性・結婚の解体と結合をめぐる意味づけ―』を読了した。面白い。これまでの恋愛研究を紐解いて、20代若者のディスカッションやインタビューから恋愛、性、結婚について分析している。

・ほとんど同年代なんだけど「そうなんだ~」みたいな部分が多かった。恋愛はなんか周りでやっているらしいもの、ですら無く学生時代も今も身近に存在したことがない。存在はしていたのだろうけど気づいていなかった。特に学生時代の恋愛関係の話ってすべてが終わった後に知ることが多かったな。

・おそらく一般的には男女共学の義務教育を受けているさなかに恋愛に気づくんだろうけど私は気付かずに友達とスマブラしたりニコニコ動画おもすれーって言っていた。昨日放送されていたテレビドラマの感想をクラス内で言い合っているが、見ていないので「ふーん」みたいな感じがある。似ているのだとゲームのLoLがある。世界的に見ればユーザー数も多くてビッグタイトルなんだけど身近にないのでピンと来ない、みたいな。そういう人間関係の機微みたいなものやってんだ~って感心があった。みんなちゃんと「心の理論」発達してんな~~つってさ。

・本書に登場する人たちは首都圏、大学卒、正規雇用って属性があるし、わざわざこの手の研究に登場するのでめちゃくちゃ「恋愛やっている側」だ。そもそも恋愛はするもんだ、みたいな規範やノリが前提なので読んでて距離あって当然である。なぜ恋愛をするのか、ではなくどんな風に恋愛しているか、に焦点が当たっているわけだし。

・面白い箇所はいくつもある。付き合うまでの流れは実際こんな感じのLINEをして~と具体的だ。女性は男性に「付き合おう」と言わせたいのでそういう状況を作るって話が複数あり戦略性があって面白い。一方男性はセックスをしてしまうと「付き合う」責任が発生するのでソフレ(添い寝する仲)になったり、絶対に手を出さない女性といい感じになり続けるといったことがある。あるいは絶対に付き合わないのでセックスパートナーにはなるがマジで気になる相手に対しては手を繋ぐのも躊躇される、みたいなシーンもある。当事者の話を聞けばその辺の筋が通っていることが分かる。

・面倒くさいや傷つけたくないといった気持ちの発生も面白い。告白をする段階で無駄に傷つくことを恐れて保守的なったり、別れのフェーズの切り出し方がめちゃくちゃ難しいってあたりも面白かったな。

・男性側の「別れた彼女にすぐ彼氏が出来ている」って嘆きなのか嫉妬なのか分からない談を聞いたことがあるが、それは「付き合う⇔別れる」の期間と感情の高まりが一致している前提だとそういう談になるっぽい。別れる、というポイント以前に気持ちが終わっていると形式上別れていないだけですでに一方の感情は沈下しているため、心情の移行は既に完了いるわけだ。電子楽器で音の始まりと終わりの出力量を調整する機能があるが、かなりそれだ。レゾナンスだっけか。

・読んでいて思ったのはいわゆるジェンダー的な役割って解体すべきものだという風潮や認識が浸透しているんだろうなという推測が間違っていたことだ。むしろ彼女ら彼らの振る舞いには男性性や女性性を結果的に増加させるものもあり、望んでそうなっている部分もある。たとえば女性は男性から告白されることで自分の価値やモテを見出すことを望んでいたりするので、男性には「男性らしい」ことが要求される。この辺はちょっとうろ覚えなので読み返したいな。なんか構造がねじれてむしろ強化されているみたいな話がいくつかあった気がする。

・素直に子供が欲しいっていう願いが標榜されているのもわりと驚いた。というか読んでいてこれはどうにもならんのでは?というぼんやりとした自分の人生の想定が確実なものになった気がする。本書の最後のほうでは年齢の移り変わりにより恋愛の意味が書き換わるとされているおり、30歳を前後して恋愛は結婚のための恋愛になる。何のために結婚をするかと言えば概ね子供(家庭)のためであり、あるいは自動的に増える年齢により相手を得るハードルが上昇することを避けるためである。今が一番若い、の言葉通りに逆金利のような働きをする年齢の作用を避けるには速攻で結婚するのがベターだ。そういうフェーズなのだ!と思っていたが結構確定したな。

・長いこと積んでいたがするっと読めたので早く読めばな~となった。そういう本がまだまだある。

・『グノーシア』始めた。Steamサマーセールにサンキュー。

・人狼ってルールを覚えるのが面倒くさいという理由で避けていた。役割や定石を知るハードルがあり、間違ったら怒られそうという理由でなんか怖い。サブウェイの注文が怖いのと同じ理由で怖い。それとアナログゲームなりオンライゲームなりであっても人数が必要なのでプレイできなかったり、コミュニケーションそのものがゲームなので苦手意識しかない。やったのは身内でのワンナイト人狼ぐらいかもしれない。あと人狼が好きな人って人狼が好きすぎるので苦手に感じることが多い。

・酒を飲みながらやっていたのだけど、人狼ゲームのシミュレーションとしてこれ以上ない気がする。本場を知らないで言うがそれなりに見て知っている『Among Us』は明確に嘘をつくタイミングがある。それと違い、本来の人狼ゲームには疑うことに理由がなかったりするのに振り返ると誰が人狼(グノーシア)だったのかの筋が見える。なんこれ。そんなゲームあるんだ。めちゃくちゃ「心の理論」だな、これも。

・2023年になって人狼ゲームの面白い部分とそれを再現したテクニクスの部分に感心していて遅すぎ。