20240116──つまらなさはもはや悪徳になっている。

・5時に起床。外で何かやっている、というより何か巨大な車両が止まっていてそれの誘導や何かをやっているような音だった。目視せずに寝れないな~と思っているといつの間にか消えていた。30分経過。止めてくれ~~~。

・眠気を吹き飛ばすために軽く運動した。かまみく過去回を聞きながらプランク、腕立て、ジャンプとかしてた。

・上がった体温を冷ますように外へ。自販機でモンエナを得る。

・ゲームをやる。昨夜にサイバーパンク2077が核心のストーリーミッションに突入してしまったようで中途半端なところで止まっていた。ジョニー・シルヴァーハンドの過去の記憶にダイブするミッション。ほとんど『インセプション』みたいに過去回想が始まっていた。ぼんやりストーリーを追っていたのでブラックウォールってなに?みたいなことを思いながらやっている。ジョニーのハンドガンは敵を一撃で倒せるし火も吹ける。便利だ。

・朝食を食べ忘れそうになったので最強どん兵衛(そば)を食べる。うどんよりは上位互換ぽさを体感できる。麺の食感が立体的で良い気がする。値段に見合うかは分からない。

・アラサカのセキュリティを倒していたら遅刻しそうになった。仕事する。

・話が面白い人が好き、について考えていた。恋愛対象の好みを表現する場合に出てくるのだけど指しているのは性質ではない気がした。いわんとしていることはむしろ「(私にとって)話が面白い(と感じられる状態にしてくれる)人が好き」なんだろうな。相手の性質でなく自分の状態にメッセージの重心がある気がした。何かを閃いて書きだしたけど、普通にそもそもそうやろという気もしてきた。天啓を得た気持だったけどそんなことなかったか。

・これはたぶん哲学とかでやられているやつだな。会話とかコミュニケーションを分析すると裏の意味が読み取れてしまう、的な。

・話が面白い人が好き、に戻すと逆のつり橋効果は成立するのか気になった。身体がドキドキする、それが怖さとトキメキに共通するので誤解する(という風説)が成立するなら面白いと好きが誤解として入れ替わっても変じゃない気がする。ただ、プラスとマイナスの入れ替えっていう例えからプラスとプラスになっているので全然成立してない例えだな。単なる正の誘因の相乗効果だ。

・面白いの定義が難しかったり表現されているニュアンスが毎回おそらく微妙に違うので書き始めるとモニャモニャしているようだ。面白さとモテの繋がりはなんか不思議で、むしろ面白さはどうして特権的ともいえる「良さ」の立場を持っているのかのほうに興味があるな。つまらなさはもはや悪徳になっている。

・『ヒトはなぜ笑うか』にはユーモアは通貨である、という表現があった。面白い人というのは社会的な通貨を豊富に持っており実際的な金持ちがモテるのと同じなのかもしれない。そうすれば人は豊かさに惹かれるって一般化できるし、概して欲求全般はそういう性質を持っている。豊かであることは生存につながる。けれど欠落/欠損に惹かれるという立場も例外的にあるのだけどつまらない人が好きと言っている人はあんまり見かけない。逆張り過ぎるからか。

・素朴に考えると面白いと感じさせるのも特殊技能で、一般的に面白い人のほうが少ないから希少性が高いのだろう。人を笑わせることが職業として成り立つのでレアなスキルと言ってよい。

・もっと言えば面白いと感じるということが文化的な階層や知的レベルの水準を推し量るのに使いやすいんだろうな。こういう話、前にも書いた気がする。

・閃きを思い出して書き始めたら思ったより駄文になった。

・帰路。百ローでおにぎりを得て『鑑定士と顔のない依頼人』を見た。良かった。

・バッドエンドだぜ~~という前情報を持っていたので警戒して見てしまっていた。心的防衛があったけどちゃんとそれを崩して「うぉ~~~~~」と感じさせてくれた。期待は越えてきた。

・見ている最中は結構グロテスクな映画だな~と思っていた。社会的に成功した老人の鑑定士オールドマン(オークション会場で前に立ってさばいている人)が主人公、この人物像がやや病的でその描写がやけに上手い。髪を黒染めし、常に手袋をはめて身なりを整えている。高級レストランに自分専用の食器が用意されるほどにリッチな状態なのに心に何かを抱えているな、と思わせるまでがちゃんとしている。事実オールドマンには体面を整えてまで他人に隠したい何かがあり、それがどう変化していくかが主題となって描かれていく。

・オールドマンは絵画を集めているのだけど、そのすべてが女性の肖像画でかつこちらを見ているものというのがグロテスクだった。大きな白い部屋の壁一面にコレクションされたそれを映し出したシーンには驚きと恐怖があって、すげぇ~映画だな~と思った。こんな風に主人公の内面を描くのか~と感心したし、一方的な見る/見られる関係性が映画内でもたびたび描写される。それ自体は映画という媒体そのものの特性でもあり、メタ的で自分好みだ。

・オールドマンは実は女性恐怖症で童貞だった、と明かされていく。物理的に女性の表象を所有している捻じれがより明確になり、映画の展開に合わせて内面が変化していく過程が不穏で見応えがある。そしてそれに報いる「これだ!!!!」ていう決めのシーンが外れなく観客の急所を突いてくるのが最高だ。すんごい負のカタルシス。

・似たような感覚があった気がして思い出すと、『BLUEGIANT』でユキノリが平さんに説教されているのと似ている気がした。こう、世界の底が抜けたような感じとでも言えばいいか。信頼していたものが一気に崩壊して居場所を失うといった感覚が共通している。

・映画としてはどんでん返し、伏線が凄いといった評判があるようだけど個人的にそこはどうでもいいと思う。むしろ伏線はちゃんと機能していなくて、あんまりミステリー的な解決の面白さは無い。言い訳的な要素の配置に過ぎない気がする。きちんと解ける問題として提示されていない。各所のセリフとかオートマタとか、意味深な要素は多いわりに意味深なだけだ。もちろんそれらが登場することによる意味の多重性や深みみたいなものはある。ウミガメのスープみたいな問題なのでミステリーっぽさはあんまりない。

・むしろ、老人の性欲映画だ!!!って捉え方のほうが個人的には大きい。老人がなぜか年若い女性に好きになられて破滅していく映画は少なくない。文学にもそういうのがあっていつもジジイの願望丸出しだな~~~ってなっている。基本的に自分に都合が良い妄想だ。本作はその自分勝手な願望、そういうジジイの欲望の醜さを描かれていると思う。可哀そうな目に合うのであまり主人公を非難している人は少ないはずだけど、歪な欲求の投影はあってわりかしキモいと思う。

・原題は『The Best Offer』で劇中のセリフでは印象的な部分で使われている。妻帯者との会話の中で、妻が「Best Offer(最上の出品物)」か気になるといったセリフだ。ここでは女性を物として扱っているわけだけど、主人公オールドマンは文字通りに物としての女性を所有している。映画ではそこを飛び越えて人間である女性との交流でオールドマン自身が変化していくが、結局は女性を所有するという価値観に自覚的でないまま進んでいく。

・自らのキモさを自覚せずに欲望をかなえてくれる女性が現れ、思い通りになっていくかと思いきや……というフリになっている。そもそもの構図がかなり意地悪だ。

・結局は自分にとって都合の良い解釈や行動の結果+αで物語にオチがつく。一見すると可哀そうとも取れるラストだけど個人的には別にそうでもない。オールドマンは利己的に社会的な立場を利用して私腹を肥やしてもいたし、審美眼に優れていたからこそ真偽を見抜けずに破滅していくことの意味性とか因果応報の筋が通っている。

・気になったのは、セカイ系よりもよっぽどセカイ系していることだろう。恋愛で破滅していく/人が変わっていく様子が疑われもせずに描かれることのほうがなんだか恐ろしかった。オールドマンが一人で食事をする場面が寂しいものとして描かれ、ラストもそれに沿っている。その場面が恋愛的な文脈でしか描かれないことは恣意的なんだけど、恋愛至上主義ですぞいという顔をあまりしていない。それを疑わせるようなところがないのでそれが正しく見えてしまう。監督がイタリア人だからそういう恋愛至上主義的な感じなのか、はステレオタイプなんだろうけど未婚/天涯孤独/高慢といった老人を恋愛至上主義の船に乗せるのは結構すごい気がする。別に結婚してなかったり童貞だったりでもええねんけどそれを良しとしない価値観がオールドマンに内面化されていて、映画の背景に忍び込んでいるのは見逃せなかった。

・恋愛に失敗したからなんやねんという気持ちも無くはないので、すんごい規模の『秒速5センチメートル』なのかもなぁ~とも思った。

・主演デンゼル・ワシントン、監督アントワン・フークアの『鑑定士と顔のない依頼人』が見たい。後半から復讐劇になってパナマへ旅立つやつを。

・美術品の知識はないけど映像はどこをとってもリッチな見た目をしているのも良かったな。

・わざわざレンタルして見ない映画を見るやつ、結構良い。

・寒くて買い物に行く気になれず、完全メシを食べたりサイバーパンク2077をやって23時半に寝た。