20250108──その後を続ける

今年のイベントを調べる。音楽祭や映画祭、芸術祭は前もって知っていないと行くことが難しい。展示会なんかも存在を知らないまま終わっていること多数。展示の前売りを買えたことが無い。

調べると今月末ごろに尾道映画祭があるらしかった。土日の開催なので行けないこともないな~とチケットを見たらいくつか売り切れていた。気づくの遅かった。そのなかでもまだ見れていない去年の映画やわりかし好きな部類の映画はチケットが残っている。イベントらしく監督や主演のトークも用意されているらしい。冬旅行に行く、と組んでいたタスクがこれで消化できてしまう。いいのか?

仕事終わり、帰宅してから映画館へ。『I LIKE MOVIES』を見た。良かった。

主人公ローレンスが本当に嫌なやつで結構凄い。そんなこと言う!?を何回を繰り返す。自虐の前に自己防衛的に他人を下げる発言を次から次へと繰り返す。そしてちゃんと人が離れていく。彼がそうなっている説明的な理由も浮かび上がるのだけどすべてがそれのせいでなく、彼本人の個性であるところに落ち着いていく。悪癖は抑えて個性を増幅させていく、その成長が映画一本まるまる使って描かれている。本当にどうしようもない子どもで、愛憎の割合は見ている人によって変わると思うけど最後まで来るとそのバランスが大いに変わるはず。

あんまり自分にはない要素が多いのでローレンスよりも周りにいる人のほうが立場として近いなと思う。もはやそういう年齢だし。ローレンスのコミュニケーションに対して憤りを覚えるのも非常にわかるが「まだ子どもだしな~」みたいな抑え方を覚えた気がする。『システムクラッシャー』はまさにそういう映画であれは本当に子ども故にとんでもないことになっていた。ローレンスは子どもだけど大学進学を控えている程度には大人に近い。多少甘やかされすぎている感もなくはない。

親へのあたりが強いとは思うけど、それはその家族の中での付き合い方として多少納得はできた。でもバイト先の先輩が不憫でならない。ローレンスが恵まれているのは確かで、それに無自覚だ。でもこの無自覚さへの批判や怒りはすぐさま自分にも跳ね返ってしまう気がする。現に世界を見れば日本で映画を見ている人間は恵まれている方だろうから。

この映画ではそういった無自覚さからもう一つ進んで映画業界そのものが無自覚であった点に触れている。そのシーンも良かった。アラナが魅せるあの場面はこの映画の核になっている。ローレンスはちゃんと受け取っているのか心配だ。その後の反応を見るにあんまり伝わっていなさそう。

ローレンスはちゃんと大人になっていくのが良いところでありつつ、そのまま捻くれていてくれ〜〜とも思う。let it goとは言うけれどgoが許されない性質はままあり、この辺の肯定される性質の分別は倫理っぽさがある。あくまで作られた良さだよなと冷めつつも作ることでしか倫理が生まれない。

細かいところだと大学進学の話なのにそこのディティールが一切描かれないのが気になった。GPAって単語すら出てこないのはフォーカスさせたい部分が決まっててもはや潔い。日本だと予備校でめっちゃ勉強してるシーンがたぶん出てくる。受験映画では全然無い。

調べたら『レディ・バード』も同じく田舎からNYUへと進学しようとする話だった。あんまり覚えていないし当時はピンときてなかったけど見返したら変わるのかも。

メインテーマが良くて変奏で繰り返されるのも良い。あと服装も。

タイトルが劇中で何度か発されるセリフではあるが、ラストを見ると捉え方が変わる。「I Like Movies」でピリオドを付けておらずにその後を続けるコミュニケーションの映画だなぁと思う。ローレンスは「自分について話す➡そこから」をしっかりと身につけている。本当にアラナのアドバイスを実践している、その素直さが良い。

温かいのは膝にかけたアウターだけのせいじゃない気がする。久々に集中して映画を見れた気がする。寒い中電車に乗って帰路。