20240331──「らしさ」や「こうあってほしい」

・深夜1時ごろに寝ていたが7時とかに起きた。なんもないんだからもっと寝かせて欲しい。オモコロウォッチを聞いてコンビニへ。モンエナと朝食を買う。

・出かけるか迷ってサイバーパンクを適当にやったりオッペンハイマーを読んだりした。

・友人が話していた『アメリカン・フィクション』を見た。すごく良かった。アカデミーの賞レースで話題に出ていて気になっていたやつ。

・アンジャッシュのコントみたいな粗筋が売りになっているがそこ以外も良かった。文学を指向する黒人作家が世間の潮流に腹が立って書いたステレオタイプなしょうもない小説が大うけしてしまう。それを巡るてんやわんやは確かに面白く皮肉的だけども、家族ドラマの部分もかなり比重が大きい。半々ぐらいに分けて描かれるドラマが優しいまなざしに満ちていてグッと来てしまった。

・黒人の立場を描いたフィクションが白人によって評価され、差別の贖罪に利用されている現状を皮肉なコメディにしている。全編にわたってその力学が働き、登場する出版社/映画監督/文学賞審査のすべてに行き渡っている。その誇張描写にはややギョッとしつつも、ついつい笑ってしまう。観客にはそれがきちんと透けて見えるようになっていて上手に作用している。

・あくまで小説に関する物語として進行するが、最後に行き先が反転して映画に焦点が当たる。そこがスリリングで良かった。黒人の「リアル」な物語!が大ウケしている様子のどこが滑稽なのかを分からせておいて、それを自己言及的に最後に持ってくるのが上手くてうぉ~~~となった。

・作家と作品を結び付けたくなりがちって普遍的な問題を語りつつ、どこか安心しながら眺めていた小説って分野から一気にいま見ている映画そのものへと色んな問題と共に攻め込んでくる。「らしさ」や「こうあってほしい」の源泉を問う終わりになっていて、めちゃくちゃメタ的な映画でテンション上がった。

・人間ドラマの部分では家族という大きな括りがありつつ、弟、妹母といった個別の1対1の関係性の描き方がよかった。特にゲイである弟に関してはシーンを割いている。落着ともいえるダンスシーンがかなり良かった。

・粗筋を求めていくとなんか違うって感想を抱くかもしれないが、ドラマの品質がこうも高いのか!と驚くとともに映画って娯楽を見ている人全般に波及する話でもあるので見ごたえはあると思う。

・見終わってから読み切れない本を返しに図書館へ。帰り際にタバコを吸いながら永井均の文庫を読んだりしてた。