20231111──悪役のやってることにいちいち突っ込んでもしょうがない

・読書しようの日として活動した。『ミシェル・フーコー──自己から抜け出すための哲学』を読み終わった。フーコー入門でありフーコー紹介の一冊だった。興味のあるなしが激しいのか、監獄まわりの話をいちばん前のめりになって読んだ。入門書は読んでもいいけどとりあえず分からないなりにフーコーを読んで踏み込んだほうがよさげ。ただ、その機運はあんまりない。

・パノプティコンの話はどこぞで読んで知っていた。ちょうどタリーズで読んでいたのだけどここはワンドリンク90分制になっている。レジでタイムチケットを発行されて渡されるが、店員がこのチケットを確認している様子はなく、客たちが自分たちで時間を守るような仕組みになっている。これはたぶんフーコー言うところのパノプティコンによる監視の「客体化」なんだろうなと思った。守ってないと責められるので関しをしてないことが分かっていてもなんとなく守ってしまう。監視の目線を自分自身に取り込んで規則を守るカフェだった。

・もう一冊読もうかと思ったら目線の先に見たことある顔が。別部署の同僚だった。休みの日に親しいわけでもない同僚と会うと、どうしたらいいのか分からないのでとんずらした。予定はなかったが映画を見に行くことにした。

・『マーベルズ』を見た。ドラマを追うことは諦めたので全部の要素は分かってない。それでも「これをやろう!」ってシーンがいくつかあって、それららがちゃんと楽しかったので良かった。ヒーローが3人いるので物語の重さが分散されているし、悪役があんまりピンとこない人物像だったりもする。が、MCUの一本一本に強度を求めるフェーズはとうに過ぎていると思うのでOVAの特別上映みたいな軽快さとスピードを楽しむ方がよいんだろうな。

・悪役のやってることにいちいち突っ込んでもしょうがないが、今作のダー・ベンは相当適当すぎるので気になった。環境学とか生態学とかを学んだほうが良い。あるいはテラリウム/ビオトープに挑戦して難しさに気づいて欲しい。

・ワープできる穴をあけることが出来て、それを経由して他惑星から資源を奪う設定になっている。大気、水、太陽の順に奪うのだけど惑星レベルのそれを別の惑星に持ち込んで大丈夫か?とか思った。質量保存の法則的にやばそうだし生態系が一気に終わる気がする。あと太陽に関してはワープ穴で窓ができるので、太陽光だけを運ぶことで成立しそうな気がする。こういう考察、ぜんぶ無駄だけどやってしまう。

・あとVFXはそんなに気にせず満足して見ていた。ただ普通の場面、平場のなんてことないシーンの間抜けというか締まらなさが気になった。とくに映画が始まってすぐのシーンがめちゃくちゃダサく見えた。光の当て方と構図がなんだかコントのように見えた。その後はさほど気にならなくなったけど、映画の特別さがテレビドラマシリーズの日常性に覆い尽くされた感じがする。アメコミスーツの締まらなさはそれが日常に溶け込んでいることの違和感なような気もしていて、ドラマシリーズを見てない慣れなさが原因かも。

・ラストでヒーロー三人のスーツ姿が揃うけど、キャプテン・マーベルだけ異様にくすんでいて謎だった。何らかの経緯ある配色だとしても映像的にパッとしない。

・せっかくなのでもう一本見ることにした。映画を安く見られる方法を試す。コンビニで発券してから劇場に向かうが別の映画館のチケットを買っていた。「これはTジョイさんですね」という言葉を店員から引き出してしまった。いっそTジョイに行こうかと思ったがここで見ないとずっと見なさそうなのでコンビニに舞い戻って発券した。レジでの支払いはさっきと同じ店員で、こいつはなんで映画のチケットを連続で発券してるのか、という感じだった。映画館に舞い戻ってこちらでも同じ店員に正解のチケットを差し出した。

・時間があるので喫茶店へ。本を読む。ここでも時間制。『そうしないことはありえたか?: 自由論入門』を読み始めた。自由意志ってあんの?みたいな話はずっと好きで読んでしまう。存在は知っていた「フランクファート型事例」が出てきてコネクティングドッツした。フランクファートの単著は自由意志とあんまり関係ない翻訳だけのはずで、主要な功績はあとがき/解説でしか読んだこと無かった。それが出てきたので、これか~となった。

・『私がやりました』を見た。良かった。

・前情報があんまりない状態で見てた。フランスのコメディで、売れない俳優/弁護士がやってない殺人に自首しちゃう話。話が進むうちに社会/司法におけるミソジニーとの闘いになっていて、意外に今の映画として大事なテーマだった。舞台は戦前なのだけど。

・フランス語でガンガン話すので音の情報量が多く、元が舞台か戯曲らしいので納得。会話のテンポがめちゃくちゃ良くて、その会話で笑わせるところもしっかりあって満足した。ユーモアがあって、おしゃれで、皮肉が効いている映画だった。

・街を散歩している犬が何度か出てくるが、それらの犬種が揃いも揃ってフランスっぽいので面白い。

・梅田駅の鳩。なぜか異様に混んでいたのだけど、たぶん野球関係のなにかだろうと思って回避して帰宅。