20231104──嘘のプロジェクトX

・朝食を食べずに映画館へ。『ゴジラ-1.0』を見た。良い/悪いの両方がある。

・良いところ、破壊のシーンが容赦なくて最高。ゴジラといえば都市を破壊するところに快楽があり、かつては自分の住む街をゴジラに破壊して欲しいと思われていたというのも納得の破壊だった。この破壊of the yearだった。

・特にゴジラと核兵器はその出自から切っても切り離せないと思うが、その辺を意識した描写は素直に驚いた。そこまでやるんだ!と興奮とそれに対する後ろめたさもあった。

・悪いところ、これは好き/嫌いでもあるが山崎貴作品っぽい演技の波が結構キツかった。端的に言うと感情の大きさと大声がイコールで表現される部分なのだけど、何かに付けて大声で叫んだり泣いたり激昂したりするので、とても劇だなーと思ってしまう。日常の延長を思わせる演技とは違う、劇の演技には理由も説得力もあるはずなんだけどなんかピンとこない。あとめっちゃ説明セリフ始まったな、のポイントが分かりやすすぎる。下手か?

・ゴジラはコミュニケーション不可能でずっと大声で叫んでいるのだけど人間までゴジラ化して欲しくはない。

・あと映画全体が嘘のプロジェクトXみたいになっているせいで、オッサン向けの娯楽という感じが強力すぎる。誰かがやらないといけない、貧乏くじを引かないといけない、といったことへの美化があって第二次世界大戦やら神風特攻に対する反省みたいなものはありつつ、観客の喜ばせ方が特化しすぎている。「これで喜んでいていいのか?」と思考がブロックしてきた。ある種、ポルノっぽさがある。

・物語の設定として元軍人が後ろ盾もない中で立ち向かう展開が不可避なせいか、そこに男性、しかもオッサンしかいないことも違和感があった。男性しかいないことの時代的/設定的な根拠は存在しているが、男性が戦争を気持ちよく消化しているだけに見えてしまう。登場人物にも女性はいるものの、役割は限定的だ。よく考えたら母親という属性をもった人物しかいない。軍人が必要だしそういう軍人には男しかいない、のは確からしいがフィクション的な解決方法が入り込む余地は十分にあるだろうにと思う。せめて男性が戦う背後に彼らを支えている人間がいる、そういう描写が一瞬でもあればそこまで思わなかった気がする。守る家族がいる、とは言われるもののその家族が全然出てこない。

・例えば会議のシーンがあって、そのなかの名もなきモブがおにぎりを片手に持っていたまま話を聞いているシーンがある。そのおにぎりを作ったのはおそらくその人の家族だろうし、いま着ている服を家族が洗濯していることもあるだろう。やるべき仕事をしている俺たちカッコいいよな!、なのは分かるけど2023年にそれでええんか?とならざるを得なかった。

・思えば『シン・ゴジラ』では庵野秀明の趣味もあるんだろうけど女性がきちんと物語に存在している。本作はシンゴジあってこそ、な部分もかなり大きいので返ってシンゴジってやっぱり良かったんだなーと謎の再評価機運が高まっているかも。

・あと神風特攻が全編で通して出てくるが、主人公が神風特攻を拒否して生還したことに対する眼差しが全然共有されていないので導入として分かりづらかったかも。

・キャストは佐々木蔵之介が良くて、ちゃんと普遍的な戦争に対するメッセージのところでは不意を突かれて泣いちゃった。山田裕貴は見た目に反して声の幼さが際立っていて、理想的な弟分といった存在感だった。神木隆之介は上手いので病的な演技がさらに病的になっていて力を感じた。安藤サクラは出てきた瞬間から存在感がやばくて凄い顔をする。浜辺美波も悪くないけどキャラで良さが相殺されていた。

・そんな感じか。

・劇場を出て合流。ドムドムバーガーに行く。吹田店はイオンの一角にあり、細長い店内だった。着いた時点で何人かがレジに並んでいたのだけどおよそファーストフード店とは思えない捌き方で新鮮だった。一つの注文を終えるのに3分ぐらい掛かっていた。レジ対応は一人だけなので最初から最後まで行列が出来ていた。想像よりだいぶ待つことになるが、店員の対応は擦れたところが一切なく朗らかでスカッとしている。怒りが湧かない仕組みになっている。

・限定のカニバーガーを食べた。友人のカニは旗を持っていたが私のには無かった。カニだ~となった。思ったよりもソフトシェルクラブは柔らかく全然2つぐらいは食べられるライトさがあった。ただ値段は全然ライトじゃない。意図せずアプリで100円引きだったけど。

・食べる前から閃輝暗点が出始めていて運良く前日に財布へ仕込んだロキソニンSを服用した。友人はバファリンを目の前で服用していてドムドムバーガーでカニを食べて薬を服用した二人組になった。

・民博へ。特別展『交感する神と人』を見た。ヒンドゥー教の偶像とかいっぱいあって、まずは目で見て面白い。写真をたくさん撮った。物によっては手で触れる像があり、ビリケンさんスタイルで触ったりもした。

・途中、神が憑依する女性の記録映像を流している展示があった。イタコっぽい感じで女性が700年前に死んだ武将になるというものだった。ほえ~~という気持ちで見ていたが、憑依後に女性が頻繁になにかを嗅いでいる様子が写っていて何らかのトリップするものなんだろうか?と気になった。友人も同じところがきになっていたらしい。

・日本にも意識していないだけで神や宗教的なルーツを持つ日常の要素はあると思うが、他国だと差異が目立って日常に張り込んでいるな~と強く思ってしまうのかもしれない。現実世界はひとつのようで、捉え方は無限にある。

・歩き疲れるのは民博あるある、ということで常設展は諦めた。飲み物を飲んでダラダラしてから解散した。私は予定がなかったので昔なにかの話で話題に出ていたラーメン屋に向かった。客は誰もいなかったが食べてるうちに徐々に来店していた。

・出汁を推しているラーメンってあんまりピンとこないかも!ってなったな。他にそういう食べものが無い気がする。炭水化物をたくさん摂取して眠みを抱えて帰宅した。