・『君たちはどう生きるか』見た。
・どうなるだろう~~と思いながら映画の始まりを待つ時間、あとにも先にもあんまり無さそうだなと思った。スター・ウォーズでもどうなるだろう~~とは思っていたが、それを超える。劇場はほとんど満員で、売店でアイスコーヒーを買うのに20分はかかっていた。
・いざ始まると宮崎駿のファンタジーがフルスイングで展開されていて、これか~~~~~~ってなった。
・タイトルからの「説教されるのでは?」みたいな想像に反して、全然説教するつもりはない映画だった。というかむしろもっと説教してくれよ!って感じるところもあった。
・メインの話自体は日常から非日常への転換でよくあるやつで、そこがかなり丁寧だ。アオサギが不気味にいざなってくる感じはかなり面白い。いざファンタジー世界に突入すると情報量が絵的にも設定的にも押し寄せてきて脳が麻痺した部分がある。130分ほどあって結構長いのだけど、丁寧な導入で後半が押しつぶれされている。
・どう生きるか、については終盤で直接的に語られていて、メタファーとして読み解き難さはさほどなかった。だからなんかこう、素直に受け取っていいのかな~みたいな気持ちはある。キーワードとして「積み木」が提示され、悪意のある現実世界とは違う理想的な世界を作るかどうか。その選択が主人公に迫られる。ここに継承するのが善いことだとか、それに代替する善さがあるとかの対抗馬があるわけでもなく、友だちを作って現実世界を生きますってありえないくらい素朴な回答をしているので面を喰らった。そうなんだ~~~って。
・ここが宮崎駿的に私もそうしてきたからみんなもそうしようなのか、私はそうできなかったのでそうありたいなのか、腑分けはハッキリしない。
・自分の作りたい世界を作ることが宮崎駿のやってきたことそのものであると言えるが、別段それを否定するでもなく、なんやかんやあっても現実で生きるしかなくね?という話だと思う。むしろ積み木っていう虚構の世界に閉じこもっているよりも、現実世界にエフェクトする積み木を生きていくなかで君たちはやるのか?って感じだ。
・他人の積み木なんか知ったこっちゃないし、今作の主人公はその辺の気にしてない風の割り切りが凄い。幼いしなんなら心的な傷を持っているのに関わらず、アシタカみたいな強さがある。鬼滅の煉獄さんみたいな素直さもずっとある。彼の成長を描くといった映画でもなく、そこに関しては積み木の話が急に提示されてから急に悟ったように見えた。
・母と子の話でもあるんだろうけど、その辺は捻じれた感情の存在をビシバシ感じる。今作もジブリ的女性像というか宮崎駿作品によく出る女性像が満載だった。少女、母親、老婆。このあたりがフル出場していた。
・少女時代の母親が結構グッとくるようなセリフをスパッと言うシーンがあるが、そこにグッとくるのもある種の気持ち悪さがある気もした。
・面白いことは確かなのだけど、ほかの人も面白いのかは分からない。なんの広告も打っていない理由は何となく察せられた。少年が田舎に住むことになり怪異に会うって物語はジブリ的王道なのだけど、ジュブナイルでもなんでもない。はっきりいって子供向けではないし、前もって知っていたらその想像以上だと思えたかどうかは微妙だろうな。
・宮崎駿が自分のやっていること、映画づくりを振り返っての映画という点なら『風立ちぬ』のほうがそれっぽい気がする。積み木を批判的にいうでもなく、積み木は積み木で必要なんだろうし、現に自分たちは現実世界に生きているし時間は流れるので否応なく「生きていく」。だからあっけなく終わるのも分かる。眞人も大叔父も宮崎駿だ。
・面白いのかわからんな~~~と思いながら映画館を出た。とりあえず一緒に見ていた友達とベトナム料理店へ。食べながらつらつら話していた。
・ベトナム料理はなんかチーズとエビの鉄板焼みたいなのを頼んだ。ドリンクバー的なシステムをあまり理解せずにお茶を注いだら店員に指摘されたので注文につけてもらう、といったことがありなんか適当に生きていることが晒されすぎて自己嫌悪になっていたが人もいるので頑張って振り切った。ものを食べて映画の話をしていたらその感じは薄れていった。
・話していた中で庵野秀明のことがでた。自分で話したのか向こうから出たのか忘れたけど、見ようと思えばシン・エヴァっぽい話とも言えなくもない。現実に帰ろう、みたいな点は共通しているし、なんなら積み木で言おうとしているのは宮崎駿自身のことでなく同業者に向けた目線とも見れる。庵野秀明がどう見たのか、知りたすぎる。
・色々とシリアスな部分を書いているが、面白ポイントは結構たくさんある。火事のときの階段の上がるスピードが凄いとかおばあちゃん達の登場シーンのインパクトだとか、インコの大群だとか。声優キャスティング、背景、キュートなキャラクター、デカい鳥よけ、SF的通路、どこかに向かう大量の船や飛行機ってモチーフ好きだねぇとか。本当にたくさんだ。
・デザートも食べてから、ドンキホーテやヨドバシやユニクロに行ってたくさん歩いた。特に買い物をしなかったがウィンドウショッピング的な行為じゃんって後から思った。この後の予定はなかったが眠みが来ていたので解散し、映画のはしごはせずにそのまま帰路。
・ジブリの過去作は物理的にレンタルで見るのが一番早そうだったので、有効期限の切れたTSUTAYAレンタルの登録を行った。アプリから前もって手続きするとスムーズらしく、店頭で身分証明を出してパパッと終わらせた。レンタルの規模を年々縮小しているのは漫画を買う時に横目に見ていたが、思いの外少ない。どの作品もジブリなら10本ぐらいあるかと思っていたら、『風立ちぬ』ですら5本だけだった。多いのは『もののけ姫』『トトロ』『風の谷のナウシカ』あたりで『崖の上のポニョ』なんかは少ない。人気のバロメーターがわかりやすい。とりえあず3作借りた。
・レンタルが100円でもないのを体感した。
・スプラトゥーン3のフェスを思い出したのでやった。バニラ派です。全然勝てずに叫んだ。君たちはどう生きるか。
・タイトル原案となっている本を読むのが結局この映画を理解するのに一番近いのかもしれない。