20230514──これがペンライトか……。

・刀ミュの『三百年の子守唄』第一部を見た。午後から現場に行く初めての予定があるのであまり頭に入ってこないまま見終わってしまった。物語はシンプルに良かったと思う。正しい歴史を維持するために東奔西走するのだけど、その方法の一つとして面白い解決法をやっている。あと劇中の時間がガンガン進んだりしていくのも特徴的で、老いることのない刀剣男士の設定があるからこそのものだと思う。それ以外の詳細は記憶の塵。

・見終わってから電車へ。上着がいるかと思ったが暑くなることを期待して置いていった。時間が無かったので玄関を開けて放り投げた。

・阪神尼崎駅は初見。ドトールもマクドも昼前にして長蛇の列となっていて、商店街の喫茶店を目指して歩いた。喫煙可の喫茶店も喫煙者にはありがたいのだけど、タバコをしばらく吸っていない身からすると忌避したい。禁煙で広く、空いている喫茶店を見つけてたまごサンドを食べた。ドリンクとセットで500円は安い。

・同行者と合流して小雨の中、アルカイックホールへ向かう。同じように刀ミュを見に行く勢が歩いているので流れに従っていると到着する。アルカイックホールの文字のあるところが撮影ポイントになっており、同行者をぱしゃっと撮ってあげたりした。

・チケットを提示して物販へ。これがペンライトか……。my new gear……できるじゃん。

・会場は9割9分女性客で、男子トイレは2階だけとなっているのを開演前に確認できたのは正解だった。途中休憩はすべてが混み合うので。なおトイレで遭遇した男性は数人で、おそらく観客の男性は演者の男性(バッグダンサーを含む)より少ないかと思う。20人もいない気がする。

・最後部からちょっと前ぐらいの席で見ることが出来た。かろうじて表情はぼんやりと見えるぐらい。アルカイックホールは初めてなのだけど、どこの劇場も大抵の映画館よりも座席が小さいので成人男性にはだいぶキツイなと改めて思った。立見席もあるんだ~とか思った。

・『花影ゆれる砥水』良かった、という感想が陳腐にはなるけどそう言うしかない。エンタメとして良く出来ているのは分かっているのでハチャメチャに期待を裏切るようなことはほぼ無い。予想外だったのは座席で臀部がハチャメチャに痛くなり集中力が途切れたことかな。映画館だと足が組めるように通路側の席を取ったり両隣が空いている時間帯で見たりしている。姿勢が変えられず、ちょっと変えようとすると前席を蹴ってしまうので2重に大変だった。

・見る前に予習をしようと登場する刀剣男士の経歴を見ていたりしたのだけど、予想外に一期一振にフォーカスされてそっちか~~~~となった。初期から実装されていて大体知っていたつもりだったので予習をおろそかにしていたらまんまとその話になっていた。山姥切長義は映画継承があったので運良く知っていて、鬼丸国綱・大般若長光はほぼ初見だったので重めに予習していたがあまり意味はなかった。

・敵役の造形が大事だと常々思っているが、今までにないっぽい要素が出ていたので目新しさはあった。ダーク一期一振の登場は演出も含めて「おっ!」と思いました。ただ、展開からのオチが予測できる反面、そこに到達するまでが長く感じてしまった。影の取り扱いがどうなるかはだいたい分かり、そこのドラマを熱くするのも予想がつく。ただ臀部の痛さが相乗りして「長い」という印象が強くなってしまった。

・ダーク一期一振(正式名称は知らない)の登場は設定としてどういう理屈であるのかは今一つ分かってないが、あまりわかる必要はないかもしれない。本丸に顕現した本来の一期一振が真作認定されなかったために、その存在が影に入れ替わってしまう。ここに歴史改変からの影響が一本道で表れていることになるが、影響って入れ替わるだけでよいのだろうかとか思ってしまう。よくよく考えると『バックトゥザフューチャー』の理屈が変、みたいな話に近くて読んだり見ていたりする時間やタイムパラドックスの概念を参照するとモニョモニョした。

・あと『トイ・ストーリー』を思い出したところもあり、影を放逐しなくてはいけないことや、歴史こそが正とする価値観の揺ぎ無さはあまり好きではない。

・歴史上の偉人(ゲストキャラ)は毎回ハズレがなく、今作の本阿弥光徳・豊臣秀吉は好演だったと思う。コメディリリーフ的な役回りが多くなることもあるが、光徳さんは関西弁込みでええキャラしてたわ。豊臣秀吉は好々爺なだけでなく、権力者たる激情を垣間見せる一幕があって良い。子供時代の光徳から劇は始まるが、子役の関西弁(京都弁?)はやや違和感があり服部平次を思い起こした。あと音響については大きい音がきちんと大きく聞こえて座席が震えるので期待以上だった。序盤は大きい音になれるためにいくつかセリフを聞き逃した。

・天幕、暗幕(名称あってるのか知らん)にでっかい日本刀を描いた舞台設定(最初は物理で存在しているのかと思った)を見た当初は半笑いだったが、物語に進むに連れて意味合いが出てくるのは良かった。その意味がどんどんわかってくるが、それを象徴した瓜二つの「瓜」をモチーフにした曲まであるのは説明過多かもしれない。

・長曽祢虎徹のかっぽれがあったり、山姥切国広の「花の雨 君の名残」が印象的に歌われたり、予習しているからこその甲斐はそこかしこにあった。

・第2部は初見のライブ曲にノることが求められ、なんとか周りを見てサイリウムの色を変えたりして馴染もうとした。キャラクターごとの配色に合わせるのか、曲の演出カラーに合わせるのかどっちだっけ?とかなった。楽曲については全体的に今っぽいEDM後のアイドルソングという感じなのでそこそこ素直に聞いた。コンサートでは座って聞くことになるのでこれが結構キツイと思っている。クラシックのコンサートですら首を振ったりリズムを取ったりしたいと思うので、それに比べたら身体的な動きができるの良い。それでもライブハウスぐらいは動きたくなってしまう。

・周りのペンラ使いを見ていたが、1拍3拍をアクセントに振っているようで2拍4拍それか4拍全部を同じで振りなる自分の身体性とは違うなと思った。いわゆる表拍がマジョリティっぽい。手拍子は個人的にあまり好きでないのでやらなかったかな。一体感があるよりも一体感を作られている感じがあまり好きでなく、なんとなく反抗してしまう。

・偉人は絶対的に和太鼓を叩く運命にあるが今作も例外ではなかった。和太鼓の曲は「海の豊穣」!って感じがあるが今回はそのなかでも中々アツい仕上がりになっていて結構好きかもしれない。湿っぽい曲よりもアップテンポなお祭り気味曲のほうが聞き入る。

・第2部はライブ構成のため曲を聴いているとすぐ終わってしまった体感だった。客降り(客席を駆け回るやつ)があるのかないのか不明だったが、まだ無かったね。

・サクッと劇場を出てバキバキの体を解した。コメダ珈琲に行ってカロリーを摂取した。コメダは巨人の国なのでどれも大きいしそれを知ったうえで注文するがいざ食べるとあまりの多さに来るタイミングがなさすぎるなと思う。今日もそれなりにお腹が減っていたがエピカツサンドでお腹がはちきれた。途中、ミソカツサンドと交換したので油でアップアップした。感想戦とかいうやつをやった。言いたいことを言い忘れた。

・今までPCモニタで見ていた映像を実際に見る機会だったが、席の加減でほとんどPCモニタで見るのと同じ画面サイズだった。舞台を見ると小さいように見えて、本番に人が登場すると狭い?広い?と縮尺がバグったように思えて興味深かった。

・現場で見ると一つの視点からしか見ることができないが、脳内で見ている映像は結構違うような気がする。映画やアニメの蓄積があるため、こういう場面ならこういったカット割りのこんな風な構図になるだろうなとざっくりと思い描けてしまう。目にインプットされているのは一つの座席の固定された映像なのに、脳内での補完によって見えていないはずの画角で映像が再現されているような気がした。たとえば殺陣であればこの角度で刀が組み合ってその向こう側に表情を持った人物がいる、といった画が浮かぶ。もちろんすべたがそういった変換と解釈を経ているわけではないが、部分的にはそういうところはあると思う。これが特有のものなのか、いろいろ見ているとそう見えてくるのかを知りたかったのだけど話忘れたのだった。

・近いものだと、子供のときの古い記憶を思い出すと視点が一人称ではなく三人称だったりするやつがある。人の記憶は一人称でしかありえないのに、なぜか三人称的な記憶が少なからず存在していると思う。これは脳内で記憶として保存する場合にそういう形式が保存やロードに適しているからだと思われる。映像メディアに慣れ親しむと物語の視覚的記憶がその形式に慣れてしまい、そうなっているのかもしれないが。

・そういう話はせずに感想戦をそこそこに帰路。エンタメとして面白いが付随する疲れも相当なものだ。7割ぐらいは座席のつらさだろうな。