20240428──田舎の景色が無限に続く

・6時頃に起床。7時まで粘ってオモコロウォッチを聞く。笑いながら旅行の身支度をする。

・朝食を食べきるついでにコンビニへ行ってモンエナとサンドイッチを買う。思ったよりサンドイッチが重くてヘビーな朝食になった。

・荷造りをしていて使い慣れた折り畳めるボストンバッグに詰めていたが、普通に旅行カバンで良い気がして詰め直した。ガラガラと引きずるやつは容量が大きいものの自分には大きすぎてあんまり使っていない。今回は本を持っていくのでこれには適している。本をパッキングする謎の旅行。本は重いので旅行には向いていない。

・色々確認してから出発。駅につくまでに日光が熱くて汗だく。サンバリアが活躍しそうな天候だ。特急に乗るため乗り換え。水を買うためにホームに下ったり上がったりして無駄な運動量を稼いでいた。

・特急こうのとりに乗り込む。なんとなくグリーン車にしていたがこれは正解かも。隣席がなく一席だけの列があり快適だった。それと全然乗客がおらず、グリーン車は3割も埋まっていなかった。

・2時間ほどある間に『倫理とは何か』を読了した。内容を全部理解したとは言えないが面白くは読んだ。正統的な倫理学っぽいM先生の講義とそれを茶化すような猫のアイジンヒトと生徒の対話が続く形式。この生徒がリアリティなく鋭いツッコミや視点を持っているのが永井均の本っぽい。

・学問的なことはM先生、その反対をアイジンヒトをやるのが良い。ちゃんとしつつ、そのちゃんとしているのを超えた実際っぽいことも抑えていていい本だと思う。倫理学そのものを取り組んで考えていけば行くほどこの本の面白さは増して行く気がする。周回プレイが基本のゲームみたいだ。しかも歯ごたえがあるのでフロム・ソフトウェア製かもな。

・読み終えて再び永井均の『子どものための哲学』を読む。こっちのほうが簡単に書かれているし永井均の問題意識直球なのでなじみがある。

・読みながら車窓の眺めを見ていたが帰省するときによく見るような田舎の景色が無限に続くの不思議な感覚になった。梅田とかの人の多さには慣れているがむしろ猛スピードで過ぎていく田園とか一軒家とかをたくさん見るほうが人の存在を感じる。しかもそれが途切れることなくどこまでも続くので世界って広いな〜とあたり前のことを思った。普段の世界観が拡張されている。バイオームが読み込まれている。

・乗車前、チェックイン前に荷物を預けられるかを電話で確認していたがホテル側から着信があった。気づかずにでられなかったので再度折り返したがなんの着信だったのかは分からないままだった。荷物は預かってくれるらしい。

・豊岡に到着。改札でICカードを押し付けるがブザーが鳴った。チャージしてくださいと機械が応答し、近くの駅員に改札を出てチャージするように言われる。改札を出るためのチャージを改札を出てやるんだ、と不思議がった。

・見えるところに乗り口からの料金が見当たらなかったのでなんとなく3000円を突っ込んだ。改札に戻ってICカードを押し付けるとまたブザー。料金を駅員に直接確認すると3080円らしかった。hmm……っていいながら思い切って5000円突っ込んだ。これで帰りの分は不要。ICOCAってこうだよな〜とpitapaに慣れているので思い出した。

・初見の町を歩いてホテルへ。エレベーターの前でタバコを吸っている人がいるな〜と思いながら乗り込んでフロンへ向かう。1階じゃないだ〜とも思った。

・荷物を預ける前に日傘をカバンから取り出していたら係員がやってきた。さっきタバコを吸っていた男性だ。白髪混じりだけどそこまで老いていなくてチグハグな印象を受けた。雀荘にいそうだと思った。対応は丁寧で荷物を預けてホテルを出た。

・豊岡には三菱UFJのATMが一切ない。それを直前まで想定していなかったのであわや無一文になるかと思った。ただしコンビニはどのフランチャイズも田舎であろうがいくつもあるので事なきを得た。

・豊岡劇場へ向かいチケット買う。日傘を使っても暑い。

・豊岡は街並みが整理されているが歩いている人が全然いない。GWかつ日曜ってのもあるんだろうけどもこの地方都市の感じがなんか新鮮だった。建物はギュッとあつまっているのに人気が少ない。

・豊劇でチケットを買う。暑さでやられていたのか受付で全然聞き取ってもらえず買うのに難儀した。始めてきたけど地方だから寂れているとかでなく気配りの行き届いている雰囲気があって良い映画館ぽかった。デデデデが上映されていてそれを買う若者が何人かいた。良いな。

・昼食を求めて放浪。なんでも良いやとインド料理屋に入った。ランチメニューがグリーンカレーとベトナムフォーとガパオライスっていう謎ラインナップだった。なんでもよすぎだろ。ガパオライスにした。

・食べながら本を読んでお腹いっぱいなった。レジで子供が声を揃えて「ごちそうさまでした!」と言ってた。

・時間があるので図書館へ向かう。正面の入口が寺の入口みたいになっていてイカつい。入館してプラプラと徘徊したが使い勝手が良さそうな図書館に見えた。近くにあると嬉しいだろうな。2階に郷土資料の棚があって、分かったようなふりして眺めていた。平田オリザの著作は当たり前のようにある。

・しばらく読書して映画館へ。こっちでも時間があるので読書。

・スクリーンの開場時間が謎だったのでやきもきしながら読書に身が入らなかった。

・どうやらカウンターで映写機のプログラムを動かしているらしく、スタッフだか支配人らしき人がバタバタとしていた。どうやら映画が上映されていないらしい。上映開始時間と予告の上映の時間を何度も確認してダメっぽい感じのやり取りをしていた。映画館の内情をなんとなく見てしまった不安とおおっと思う気持ちの両方があった。

・そうしているうちに自分が見る予定のスクリーンから沢山の人がでてきた。こちらでは上映してる映画のトークショーか何かがあったらしい。そのスクリーンに入るのにロビーには沢山の人で埋まっていてどうして良いか分からず狼狽えていた。

・時間通りならここだしな〜と入ろうとすると別のスクリーンになったらしい案内を受ける。2階らしいのでそのままいくと無人だった。ここでいいのか???座席には座席番号が振られているが全席自由席だったのでは?チケットには何も書いてないが???と思考停止した。

・しばらくすると女性がやってきてスクリーンが変更になったことの謝罪があった。機材トラブルで終わりが遅くなったらしい。もともとが大ホールでの上映だったので小さい方になってしまった。個人的には初めての映画館だしどっちでも良かったのだけど、大ホールでの上映のほうが多分普通に良いものだから結構謝られて対応に困った。それよりも100人以上入るだろう場所から30人ほどのスクリーンに変わって大丈夫なのか?と心配になった。

・結果それは杞憂で映画を見たのは自分を入れて二人だった。少なすぎ。

・『王国(あるいはその家について)』を見た。すごい映画だった。

・この凄さを書いてもあんまり伝わらないというか、やるとしたら一度きりの仕掛けの映画だ〜〜〜って凄さがあった。言うなれば『カメラを止めるな!』のような。

・とある殺人に関する供述から映画始まるが物語的にそれを追求するのでなく、それを演じる俳優にフォーカスが当たる。俳優同士が脚本を読み合わせる場面こそが本編で、それが何度も繰り返される。さっきやってたシーンじゃん、が繰り返されるけど演じ方が毎回変化してブラッシュアップされていく様子が凄まじい。おそらく普通の映画はその工程の最後だけを繋げて作られているんだろうが、この映画はその過程を映画にしている。

・ちょっとした朗読が見慣れた映画になっていく様子がすごすぎた。俳優という職業のアウトプットをよく見て知っている気になっているが実はものすげ〜〜〜〜んじゃね?となる映画だった。演技でヤバいなと演技の質でなく本質で体感させられる映画だった。

・しかもその構造だけでなくセリフで語られる部分でも映画そのものに言及していると読めるところもあり、媒体が媒体に自己言及しているやつだ!とテンションも上がった。

・中盤まではそれで思わず笑っちゃうほど楽しんでいたが、流石にそれが多いので眠くなってしまった。眠さに負けない!と耐えていたら小さい寝息が聞こえてきた。自分以外の唯一の観客が寝ているらしく「分かるぜ!」と連帯感がでた。

・この構成だけでどう終わらせるんだろうと思っていたらタイトルの意味がわかるような独白で締められていた。こっちもこっちで面白いテーマだな〜って気持ちでスクリーンを出た。

・劇場を出る前にお詫びとしてステッカーを貰った。あとで調べるとその人が支配人だったらしい。シネコンはもちろん単館系でも属人性はあまり感じないが豊劇はそこで働いている人たちのバイブスとかがにじみ出た地元密着感があって良いなと思う。

・ホテルにチェックインして夕飯を食べに出る。

・定食を出している立ち飲み屋に行く。入ると男女が会話していてその間に入って注文した。ホテルを兼ねているらしく宿泊者用の机があったりしてどこに座ったらいいのか作法が行方不明で狼狽えていた。男女が会話しているのでその間に座るのも難しいので置かれている本とかを見ているふりをしていた。

・立ち飲み屋に行った記憶がないので立ち回り不明すぎ!となっていた。ビールを頼んだら瓶ビールだったのでそれを飲みながらKindleで読書して場をやり過ごした。こいつには話しかけてええんか?という暗黙のジャッジを受けている気がした。社会人と大学生ぽかったし会話に入って適当なことをいうぐらいは出来そうだけど今更入るのも不自然かも!とずっとKindleを読んでた。また別の男性が入ってきてちょっと地元っぽいトークをしてその環が広まるのをラジオにしつつ定食をビールで食べた。

・食べ終わる頃にそれぞれの会計タイムがあり、女性が会計するのを待ってから会計。瓶ビール500円だった気がする。雰囲気に馴染めれば良い店なんだろうな。立ち回りの習得が未熟だったのが敗因。

・酔いを覚ますためにドラッグストアへ。デンタルフロスを忘れたので買う。旅行に行くたびにデンタルフロスを買って帰っている気がする。

・タバコを吸ってパルムを食べる。ふっくらすずめクラブを見る。今日の日記を書く。日付が変わる前に布団へ。酔いは覚めた。